下北沢な人々 - 女優 太宰美緒 -

下北沢な人々 - 女優 太宰美緒 -
今回は女優であり、9月4日(土)、5日(日)に開催される下北沢映画祭のお手伝いをして頂いている女優の太宰美緒さんに話を伺いました。

 

太宰 美緒(だざい みお)
生年月日 :1982年9月14日
血液型   :A型
出  身  :静岡県
趣  味  :ピアノ、阿波おどり
好きな本  :妹とバスに乗って/浅田次郎 姫椿/燃えよ剣/剣客商売/超訳ニーチェの言葉/
       金子みすゞ:星とタンポポ/
好きな映画 :風の中の牝雞/ギター弾きの恋/コーラス/男と女/CHICAGO …
好きな場所 :空の見える場所、自然(海、森林)、神聖な場所(神社、お寺、教会)
       ブダペストのドナウ川、など


 


- 今のお仕事を始めたきっかけについて教えて下さい。


 高校では水泳部に入っていて、芸能関係のお仕事には憧れはあったけど、どうせできないだろうと、事務所に籍は置いていたものの、活発的に活動するといったことはありませんでした。

 その後大学に入り、原宿の通りを歩くだけで複数の方にカットモデルにならないかと声をかけられるようになり、それが雑誌に掲載されていくことで、もしかしたら自分でもモデルができるんじゃないか、という気持ちになっていったんです。

 でもまだこのときは高校生のときと同じように、芸能関係の仕事を本気ですることに対して、諦めというか恥ずかしさがありました。

それは自分が芸能界の仕事をするという事は大学生という組織に所属している安心感、安定性を捨てて、社会との結びつきが弱くなることへの不安があったんです。



 



- 今、太宰さんは女優としての道を進まれていますが、そう決心された経緯はどんなことがあるんですか?


 実はあるメイクアップアーティストの方と話をしていた時に、『なぜ大学に通って いるのか?』という話になったんです。

 それは、当時私が通っていた大学では日本語教師、英語教師になることのできる学科だったのですが、「日本語教師や英語教師になりたいなら勉強すればいいけど、君は何になりたいの?
モデルに本気でなりたいなら、人生に保険はかけない方がいい。」と言葉を頂いたんです。
このことがきっかけで、私はこの世界で生きて行こう!と強く決めたんです。

 そして大学卒業後も、しばらくはモデルのお仕事をさせて頂いていました。
元々、女優業にも興味を持っていたので、2年ほどモデルのお仕事をさせて頂きながら、演技レッスンなどを受けていました。そしてもっと演技を学びたい、そんな事を強く思うようになり、少しずつ、女優業への転身をはかろうと準備を進めていきました。


 


- そもそもなぜ女優へと興味を持ちはじめたのですか?
  


 演技の場合、台詞を覚えて、役を理解して、そうして個々の取組みを終えた一人一人が集まって、今度はみんなで長い時間をかけて1つのものを作り上げて行く。
モデルのお仕事ではなかなか得ることのできない、その過程と終わった後に得られる達成感がとても好きなんです。




- ちなみにこれまでのキャリアを見る限り、団体で何か、という印象がないのですが、どのようなことでそういった皆で何かをすることに対して興味を持つようになったのでしょうか?


 おそらく小さい頃にお祭りが盛んな土地で育った事が関連しているんだと思います。
 私 は静岡出身なのですが、中でも私の住んでいた土地はお祭りが盛んなところで、大型連休には近所のおじさん、おばさんが皆で協力して、町の 人々に太鼓を披露するイベントがあったんです。そのときの皆で一緒になって盛り上がる、といったイベントがとても楽しかった思い出があるんです。
 そんな経験があるので、今でも皆で苦しい事を努力して、1つのことを乗り越えるという経験が好きなのかもしれませんね。




  
  



- 女優業へと転身を図られて、何か変化はありましたか?


 まずは生活面でも心境面でも大きな変化があったんです。
 それは実家を出たこと。そして事務所も変わったことです。
 生活スタイルが変わった事で、これまで自分がいかに家族や事務所など様々な方に守られていたかということを知ったんです。
 モデルのお仕事をさせて頂いていた頃からも、周りの皆さんが私に対して気を遣って下さることには気付いていましたし、とてもありがたいと思っていました。そしていざ女優のお仕事をはじめた時に、自分がこれまで特別扱いされていることに改めて気付いたのです。
 女優の仕事を始めて、いきなり自分のことを『太宰!』と呼び捨てで呼ばれたときは、今までが『美緒ちゃん♪』だったので、これまでとのギャップがありすぎたので驚いちゃいましたね(笑)


  



- モデルから女優業へと転身を図り、新たに気付いた事、学んだことはありますか?


 女優業へと転身し、人間のことがもっと面白いと思いました。
またそれとともに自分がどんな人間なのかを知ることができている事が楽しいです。
 それはTVや演劇などでは登場人物の性格や生い立ち、などの設定があります。
なぜこの登場人物はこのシーンで、こんな事を言うのか、その時の気持ちはどんなだったか、など役に出てくる登場人物の思考回路と自分とを比べることによって、私だったらこう考える、この人はこういう性格だけど、私はこういう性格だなぁ、と自分について知ることができるのです。

 演技の場合は事前に登場人物の役割を理解し、台詞を覚えて、さらにそれから他の俳優の方々と一緒になって作っていく事。そんな皆で何かを創って行く雰囲気や過程、そしてそこから生まれる感動が大好きなんですよね、きっと。


  



- お仕事をされていて、どのようなときが嬉しいですか?


それはやっぱり自分のお仕事を通じて、舞台に来て頂いたお客さまに『感動した』、とか『泣いちゃった』とか喜んでもらえる事がとても嬉しいです。



- 一方で、嫌なこと、辛いこと。と言えば?


 それは肉体的に辛かったり、お仕事で関係する方々との人間関係だとか色々ありますね。でも今は女優というお仕事に携わり、多くの方に喜んで頂く嬉しさの方が大きいので、嫌なことはそこまで気にしていないんですよ。

 辛いことと言えるのかはわかりませんが、1つあるとすれば俳優の存在意義について昔考えたことはあります。

  それは今の世界情勢が不景気に陥ると企業が広告予算を真っ先に削ってしまうので、私たちのお仕事は減少傾向になってしまいます。飲食など人々の生活におい てはなくてはならない存在とは違って、私たちの仕事はなくなっても良い仕事なんじゃないか。だとすれば、私たちの存在意義は何なんだろう?私はなぜ俳優を しているんだろうって思ったんです。




- 俳優というお仕事の存在意義は見つかったのですか?


そんなときにつかこうへいさんの飛龍伝を見て、私自身がとても清々しい気持ちになったんです。そして1つ吹っ切れたんです。

それは確かに私たち俳優業の人達は人々の生活において、なくてはならない仕事ではないかも知れません。けれども足を運んだり、画面を通して私たちの演技を見 て下さった方々に、今よりももっと元気になって頂く、そんな心の栄養を提供して行く事が私たちの役割なんじゃないかって思ったんです。

自分の関わった人の心を浄化させたり、気持ちを良い方向に変えられることができたら嬉しい、というのがあるんです。まだそんな影響力があるわけではないのですが、そういうことができるような立場になったら嬉しいんです。


 



- 今後どのような女優になっていきたいですか?


女優太宰美緒として、私自身がいなくなっても、人々の記憶から色あせずに、いつまでの人々の心から消えない、自分と関わった方々にとって心の栄養になっていける、そんな存在になりたい、という思いがあります。
 そしていつの時代もいつ見ても、いい演技しているよね~と言われるような本物の女優になりたいです。



- もちろんわかっていたら誰も苦労しないのでしょうが本物の女優になるためにはどんな事が必要なのでしょうか?



 

 そうですね、確かにそれが分かっていたらいいですよね(笑)
私がこれまでにお会いした方や実際に聞く話でも思うのは、人々の心の栄養になれる本物の俳優というのは人間的に素晴らしい、愛情にあふれている方だと思っています。

 言葉で言うと照れくさいのですが、人間はそこに『愛』があれば、何でもできますし、『愛』が何事も大事だと考えています。

 お恥ずかしい話ですが、私自身これまでのお仕事を通じて、やっと愛情を持って人のために動くということがわかって来たんです。相手の方に喜んで頂くために、愛情を持って、相手の立場に立って物事を考えられる人。そういった人が本物の俳優さんなんじゃないかと、そんな風に思っています。
私自身、まだまだ自分のことを考えてしまって、とてもその域には達していないんですけどね(苦笑)


  

  



- 今後の下北沢映画祭にはどうなって欲しいですか?


 映画界においてもですが、下北沢映画祭のことをもっともっと色々な方に知って頂きたい、とは思っています。

 というのも、より多くの方々に喜んで頂くためには、下北沢映画祭そのものが世間に注目される存在である必要があるからです。 
 1つに映画に携わり、映画を作られている方にとって下北沢映画祭で受賞する事が今後のキャリアにおいても、大きなプラスになる存在となっていくためには、映画祭そのものが世間から注目されるものでないといけない、という事。

 そして後の名監督、名俳優を発掘できるような映画祭であれば、来場頂いたお客様にとっても楽しめるものになるわけですが、そのためには認知度が上がって行く事が必要不可欠なんではないか、そんなことを思います。 

 そして私自身も今回、下北沢映画祭のオープニングムービーのお手伝いをさせて頂く事で、そのお手伝いができたら、と思っています。


 
- 最後にこのインタビューをご覧になっている方々に一言お願いします。


 最後に、このインタビューをご覧頂いている方々に下北沢映画祭の応援を是非よろしくお願いします。
映画祭は面白いので是非見て下さい。


 
- インタビューア後記 -
 今回インタビューをさせて頂いたのは第二回下北沢映画祭においてオープニングムービーに出演頂いている女優の太宰美緒さん。
 しもきた商店街の"シモキタ美少女カタログ"にも出演頂き、下北沢で何度か見かけられた方も多いのではないでしょうか?

 さて、これまでお店を経営されている方にお聞きする事が多かったこのコンテンツにおいて、初めて女優の方に話を聞くことができました。
 正直、女優の世界とは全く関わりのない私にとって、一体どんな内容になるのか不安もあったのですが、実際に話を伺って感じたのは根本的な事はこれまでお話を聞いてきた方々と大きくは変わらないという事。そして、とても芯が強く、人が好きな方である、という印象を持った事です。

 まず1つに女優の世界においても、商売の世界においてもそこには必要として下さるお客さまがいらっしゃり、そのお客様に喜んで頂くため、楽しんで頂くために行動しているということです。その過程が我々であれば商品サービスの研究開発であったりして、一方で太宰さんの場合は稽古といったように手段が違うだけで、何ら変わりがない、ということです。

 またもうひとつ感じた点としては女優、太宰美緒という素晴らしい人間性についてです。


 言葉に語弊があるかもしれませんが、女優という世界においては、稽古や様々な方々との人間関係などなど口にはけして出されなかったものの、我々には想像できない厳しく辛い事が多くあると思っています。
 その裏側を知りたい、と「今までで一番辛い、嫌だった事は何か?」いうちょっとヤラシイ質問に対して返って来た答えはあっさりと「嫌だったり辛い事はあるのですが、それ以上に多くの方に喜んで頂く嬉しさの方が大きいので気にならないんです」との一言。

 あぁ、この人は人のことが大好きで、その人が喜んでくれたり、楽しんでもらう事が好きだから、女優という仕事を通じてその役割を担おうとしているんだ、と。そして、心の奥に『人に喜んでもらいたい』という、しっかりとしたまっすぐな気持ちがあるからこそ、どんな辛い事にも立ち向かえるのだと。
 華やかな世界の裏にあるであろう厳しく辛い一面を持つ女優の世界において、なぜ太宰美緒は女優であり続けるのか、そんな疑問を一瞬で消え去ってくれる瞬間でした。


 今回のインタビューや撮影など太宰美緒さんに何度もお会いする機会がありました。そしてその度にその人間性にとても感銘を受けていきました。
 それは我々のカナリ無茶なスケジューリングに対しても嫌な顔ひとつせず、 同行している私ですらクタクタで、疲れていないはずないのに、疲れた、と発した事はただの1回もなかったのです。何度も「疲れたでしょう?」と誘導尋問的に聞いたにも関わらずです(笑)
 そして取材を通して、協力頂いたお店の方々含め、我々に対しても常に気くばりを忘れずに接して下さり、早くも下北沢では太宰ファンが急増中だったりします。(何気に協力店舗の皆さんでは、ご自身のブログ等で太宰さんのブログにリンク頂いていたりしてくれています)

 テレビや舞台等で活躍中の太宰美緒さん。今後もチェックです。9月4(土)、5(日)の第二回下北沢映画祭に行けば、太宰さんにも会えますよ。