下北沢な人々 - MINX 下北沢店 土屋サトル -

下北沢な人々 - MINX 下北沢店 土屋悟 -
今回は下北沢に2店舗そして、他にも表参道などに店舗を構える美容室 "MINX" の下北沢 店長である土屋 悟(つちや さとる)さんに話を伺いました。


- MINX 下北沢店とはどのようなお店なのでしょうか?


MINX下北沢店は、今あるMINXの中では一番古くからあるお店で、MINX発祥のお店になります。今年で26周年なので、新しく入って来るスタッフよりも年上になりますね。
 お店は下北沢という土地柄、青山店や原宿店など他の店舗より少しカジュアルな内装で、地元密着のアットホームでフレンドリーな雰囲気となっていますので、幅広い層のお客さまにご来店頂いています。
MINX下北沢店によるヘアスタイルサンプル



- 土屋さんが美容師の道へと進むきっかけ、そしてこれまでの経緯を教えて下さい。



 美容の世界という意味では、髪型には興味があったものの、美容師という職業に強い思いはなかったんです。
高校時代はX-JAPANというバンドが大好きで、自分でもギターを弾いて、音楽に打ち込んで、美容師の美の字もないくらいでした。

 その後将来の進路を考えた際に、大好きなX-JAPANのギタリストだったhideさんが美容学校に通っていたという記事を雑誌で読み、hideさんみたいになりたい!という思いと、学生を続けていれば大好きなギターも続けられるのではないか、そんな不真面目な考えから地元長野の「長野理容美容専門学校」へと進み、長野の美容室で働くことになりました。


 正直、美容師を目指した頃は女の子が多いとか、格好良さそうだとかで、動機は割と不純だったんですよね。学生時代もけして真面目な生徒じゃなかったですし…(笑)
 
 でもMINXと出逢って、がらっと変わったんです。


- MINXとの出逢いはどのようなものだったのでしょうか?


 MINXのことは当時の美容雑誌でオーナーの高橋、そして鈴木(高橋オーナーの奥さま)が ヘアスタイルを発表していたので、前から知っていたんです。
2人が創る先鋭的でカッコいいスタイルを自分でも作りたい、という思いがあったので、髪を切るときは特急電車を乗り継いで、わざわざ今のMINX下北沢店に通っていたんです。


 そして大きな転機を迎えたのが赤坂BLITZで行なわれたヘアショーでした。
 そこでMINXが発表するヘアスタイルの数々に衝撃を受けたんです。その素晴らしさに感激し、あまりに興奮しすぎて、帰りの電車に乗り遅れた程でした(笑)。その晩は興奮して寝ることができず、その時に『MINXで働きたい!』と強く思ったんです。そして翌日には当時勤めていた美容室のオーナーに『お店を辞めたい』と告げたんです。


- 当時はまだMINXで働くことはきまっていなかったわけですよね?


 そうですね、まだ自分がMINXで働けるかどうか、そんなことはもちろん決まっていませんでした。でも長野で働いている限り、MINXで働くことは出来ない。だからやめるしかなかったんです。

そして長野を出て、面接をしてもらい、当時青山店の店長だった岡村(現セントラル店、原宿店総代表)に拾ってもらって、憧れのMINXで働くことになったんです。




- 実際に憧れのMINXに入ってみて、思い描いていた理想と現実のGAPはありましたか?


 GAPはあることにはあったんですが、ただそれはマイナス面のGAPではなく、プラスの方にしかなかったんです。
実際に働いてみて、想像以上にスタッフの志が高く、自分が成長出来る環境だった事。想像以上に沢山のお客さまがMINXを好きでいて下さるという事。
そういう意味でMINXのことが、もっともっと好きになったんです。





 




- 将来、MINXならびにお店をどのようにして行きたいですか?


 当時、僕がMINXのスタイルを見て「MINXで働きたいっ!」と思ったように、他の人に憧れられるMINXであり続けて欲しい、と思っています。

 美容室は店舗でお客様へ最適なヘアスタイルを提供するサービスの他にヘアショーや撮影、セミナーといった店外活動があります。それらの活動を通してもっと良いものを提供し、お客さまに喜んで頂く。
 そして皆さんにMINXへ来て頂きたいですね。



- 土屋さん個人としての今後はどのようになりたいですか?


 一人の美容師として、お客さまに楽しく人生を過ごして頂けるようサポートをして行きたい、お客さまにとって無くてはならない存在になりたい、と思っています。また僕自身が当時の高橋、鈴木に憧れたように、美容師を目指す人々に憧れられるような人物になっていきたいです。

 今の僕は当時の高橋、鈴木、岡村の足元にも及ばないと思います。もっともっと自分を磨いて行かないと・・・。でもこうして自分を磨いて行くことで、当時長野から出て来たばかりの田舎者を育てて下さった恩を返して行ければ、と思っています。


 運命というものがあるとすれば、定められたレールではなく、自分で創っていく、掴むものだと思います。

 僕自身、運命は自分で創っていくことが出来ると思っているんです。ちょうどパズルみたいに散らばっている様々なチャンスを集めて、「こうなりたい!」とか「ああなりたい!」という運命を創れるんじゃないかと。

 だから、自分の将来に不安な方には、未来をイメージして、将来の自分に必要なピースを集めて、つなげていくことで運命を創っていくことが出来るんですよ、とアドバイスしたいです。


- 土屋さんが持たれている持論やこだわりみたいなものはありますか?


 ベーシックが命だと思っています。
 カットでしっかりした土台を作っておかないと、流れにくいとか、伸びてきた時にハネるとかのトラブルを招きますし、お客さま一人一人の特徴を活かして過ごしやすいスタイルを提案する為には、ベーシックを知らないと応用が利かないんですよね。

 特徴を活かす、ということで言えば、例えばストレートパーマをご要望のお客さまに対して、完全に真っ直ぐにすることも出来るけど、後ろの方はクセを活かしてふわふわに、顔周りはクセを弱くして馴染ませる、など、お客さまの特徴を知ることで、様々な提案が出来るんです。


  



- 料理で言うと和食のような素材の良さを活かして作られるように、お客様にたいしても、お客様の良さを活かす、その人に合うスタイルを提案していきたいということですかね?


 そうですね、おっしゃる通りです。
お客さまのご要望をお聞きしつつ、プロの目線で提案をしていく。
実際に出来ているかはわかりませんが(笑)、そういうふうに一緒にヘアスタイルを創って行きたいんです。

 ヘアショーや雑誌などで提案されるヘアスタイルは、ヘアがメインなので『作品』という位置づけにあるのですが、お客様に提供するヘアスタイルは 『商品』として、お客さまありきで、お客様に合ったスタイルを提供して行くことが必要なんです。だからこちらから提案をして、最終的にはお客様に選んで頂く、そんなお客様目線の姿勢が重要だと思っています。

 



- 9月4日、5日に開催される映画祭に関連して、土屋さんの好きな映画について教えて下さい。


 沢田研二さん主演の『太陽を盗んだ男』という映画です。
 昔、TVの深夜放送でやっていて、見始めたら明け方まで見てしまいました。
奇抜なストーリーとセピア色の風景をそのままフィルムに切り取ったような映像がステキだったんです。
そして何より沢田研二さんがかっこよかったですね。


 もうひとつ『ロッキー・ホラー・ショー』という70年代に制作された映画も好きです。
 これはミュージカルを映画化した作品で、雨で車がエンストしたカップルが洋館に逃げ込み、その洋館の主フランクン・フルター博士、そして彼が造った人造人間のロッキーを登場人物としてストーリーが進む映画なんです。
 コメディかつロックミュージカルに仕上げた映画で、僕の趣味の根底にはこの映画があるような気がしています。

 



映画の髪型とかでインスパイア(影響を受ける)されたりすることはありますか?



 ヘアスタイルはやはりお客さまあってのヘアスタイルなので、映画の髪型を見て、何かインスパイア(影響を受ける)されたりすることはないんですが、ヘアショーや雑誌などの作品を見て、インスパイアされたり、というのはありますね。


- 下北沢映画祭に期待することはありますでしょうか?


 カンヌ映画祭みたいに大きな映画祭がある中で、下北沢の演劇やミュージカルといった特徴を生かして、かつて塚本晋也監督の『鉄男』がタランティーノ監督に影響を与えたように、次の世代が影響を受けるような作品を輩出する映画祭になって欲しいですね。


 あとは変な風に縛って欲しくないですよね。
下北沢は人種のるつぼではないですけど、モロッコがアフリカとヨーロッパの文化が交わってできているよ うに、下北沢も色々な町のカルチャーがミックスされて生まれた町という印象があります。そのため、そういったカルチャーのど真ん中のインディーズ臭があって欲しい、そう 思います。多種多様な方が集まって、町がもっともっと盛り上がって行く。そんなものが欲しいですね。




- 下北沢には他の街にはない魅力があると思うのですが、土屋さん自身は下北沢という町はどんな町だと思いますか?



今後町が大きく変わって行くかも知れませんが、保守的な町ではない方が良いかなと思います。
発展し、進化する。ウェブページの様に更新していく。今までの下北沢にプラスαを繰り返して、下北沢らしさを突き詰めて欲しいと思っています。

 例えば原宿や代官山といった特定の町のイメージと同じ方向に進むのではなく、下北沢という突き抜けた個性を大切に、あえて他の町とは違う天邪鬼でいてほしいですね。

 国であれば、常に発展途上国であって欲しい。自分らしさを追求する町であって欲しい、なんて思います。下北沢という町に意思があるとすればきっとそう思っているんじゃないかと思うんですよ。
 今のままでいるのではなく、常にさなぎのように成長段階にある、そんな下北沢であって欲しいですね。

 



- 最後にこのインタビューをご覧になっているお客様へメッセージをお願いします。


 神様が人間に与えてくれたものに不要なものは無いと思っています。
 髪の毛は紫外線から脳を守るために進化したと考えられていますが、心臓や脳のように生活していく上で必要不可欠なものではないにもかかわらず、人体で最も活発に細胞分裂を繰り返しているそうです。
 「・・・何でだろう・・・?」と考えたときに、ふと思ったのは、「髪の毛は神様がくれた実用性を兼ねたアクセサリーなんじゃないか」って。
自分を装飾して良く見せられる生物は他にいないわけで、せっかく自分をキレイに出来る生き物なのに、それをしないのはもったいないと思います。
 だから神様が人間に与えてくれた髪の毛をもっと素敵にしたいと思う方、あるいは今までこのように考えていなかった方、是非MINX下北沢店までお越し下さい。

お待ちしております。


 





- 太宰美緒インタビューア後記 -


土屋さんにインタビューさせていただきました。
土屋さんの言葉には重さがあるなぁと思っていましたが、インタビューをしてその理由が分かりました。
この人スゴイです。
有言実行される方です。
夢を夢で終わらせる方ではありません。
しかもそこにカッコつけとか自負があるわけではなく当然としてただされているんです。

そしてこんなに自分の会社、職場を愛している方に私は初めて逢ったかもしれません。

土屋さん、ありがとうございました。

光のある方にカットされたいあなたは是非MINX下北沢店土屋さんにお願いしてみて下さい。