下北沢な人 - HOT COMBINATION飯塚 美和 -

下北沢な人 - HOT COMBINATION飯塚 美和 -
今回は、下北沢駅の北口からも西口からも徒歩1分にあるエステ・サロン「HOT COMBINATION」のオーナーでセラピスト、飯塚美和さんにお話を伺いました。HOT COMBINATIONは「ハワイアンロミロミ」というハワイの伝統エステの施術を受けられるのが特徴。飯塚さんには、お店を開くまでの仕事歴や今後の夢を聞かせていただきました。




 —エステに興味を持ったきっかけは何ですか?


環境でしょうか。駒場で叔父と叔母が鍼灸院をやっていたんです。だから私たち姉妹も、風邪をひいたらお灸をすえるのが当たり前でした。

叔父は目が不自由だったので、そのぶん、患者さんの体に触れたときに、いろんなことを読み取るのに長けていました。その厳しさを見て育ったので、自分が目指すことはできませんでしたが、人のことを触って癒す、ということにずっと興味はありました。





 —このお店を開く前から、そういう関係のお仕事を?



高校を卒業して入社したのは某大手化粧品メーカーでした。学校の先生に勧められて採用してもらいました。面接で「美とはなんですか?」と聞かれたので「それはわかりませんけど、私は人をきれいにすることが大好きです!」と勢いで押し切った感じです。


入社後はデパートで5年間、販売をやりましたね。皮膚理論のことも接客もフェイシャル・マッサージもそこで学びました。お客様にふれて、喜んでもらえるということを知ったのは、この時代でした。

 

ちなみに私が辞めるときは、入れ替わりで同じ店に妹が入って、まさかの姉妹リレーになりました。今は変わったかもしれませんが、私のころは辞めることや異動することをお客さまに伝えてはいけないというルールがあったので、当時のお客さまは結構びっくりされたかもしれません。ある日行ってみたら「飯塚ですか? いますよ、妹のほうですけど」っていう展開ですから(笑)。


 —その後はどんなお仕事をされてきたんですか?


いろいろやりましたけど、この店の直前は、秋葉原のメイドリフレ店のマネージャーをしていました。メイドリフレっていうのは、メイドの制服を着た女の子たちが、整体、足ツボ、フェイシャル・マッサージなんかをする、男性向けのマッサージ店ですね。メイド喫茶のマッサージ店バージョンと思っていただければ。ここでは私は施術するほうではなく裏方にまわって、経営のことを学びました。4年ほど勤めましたかね。


 


 —それで、お店を開いて勝負しようという決意をされたんでしょうか?


いや、そんな勇ましいものじゃなかったんですけど。メイドリフレに勤めている間に、「こんな物件があるよ」なんていう情報がちらほら入り始めて、なんとなく独立も考え始めました。そんなとき、プライベートでたまたまこの辺りを散歩していたら、ここが工事をしていたんです。なんだか良いなと思ったので、その場で電話してみたら、建築家の方が中を見せてくれました。「ここでエステやったらいいんじゃない?」と言われて、そうかなと思ったんですよね。インスピレーションです。


でも、当時はメイドリフレの運営のほうにまわっていて、接客や施術の現場から遠ざかっていましたから、現場の感覚を取り戻せるのか少し不安で。勤めを続けながら、休日にはここで、まだ店名もメニューも決まらないなか、全部で100人、無料で施術しました。それをやってからオープンしようって自分で決めていたんです。それが1年何カ月か前。今、お店は2年目です。


 —どうして、ハワイアンマッサージ「ロミロミ」だったんでしょうか?

これまでに、足ツボをやって中医学も勉強して、体のことは勉強できたので、じゃあ次は心のメンテナンスだ、と思ったんです。ハワイアンロミロミって、オイルを使った全身のトリートメントなんですが、身体と心がゆるむマッサージなんですよね。マッサージによってリラックスできて、嫌なことが抜けるというか、緊張感が取れる、心と体をフラットにしてくれるような。




3〜4年前、ロミロミを学びたくて、オアフ島を初めて訪ねたとき、友達みんなが口をそろえてハワイを褒める理由が初めてわかりました。気候の穏やかさや人の良さ。日本語も通じますしね。でも、そういう便利さより何より空気というか雰囲気がすごく良くて、ああ来てよかったな、間違ってなかったなと思いました。そのときは、1カ月ほどロミロミを勉強しました。





 (現在、お店は妹さん:写真左 と2人で運営)



 —オープンに当たっては、どんなお店にしようと考えていらっしゃいましたか?


地域密着でいこうというのは決めていました。下北沢はけっこうディープな街だと思うので、それに乗れればうまくいくんじゃないかと思ったんですよね。大きくするより密になれればいいと思った。下北沢って下町っぽさがありますよね。私たちも生まれ育ちが葛飾だから、シンパシーを感じます。




 —オープンして、その通りになっていますか?

そうですね。お客さまの8割は歩いて来られる距離に住んでいる人だと思います。リピーターがほとんどで、30代の人が多いですね。職業でいうとクリエイティブ関係でしょうか。



 —仕事以外だと、今は何をしているときが楽しいですか? 趣味はありますか?


フラダンスを駒沢でやっています。世田谷区のサークルで、お客さんに誘われて行くようになりました。世田谷区のデイホームを訪ねてボランティアで踊るんですが、ホームのおばあさんが「まあ、あなたハワイから来たのね」って(笑)。私も「はい、飛行機で帰ります」なんて答えています。ハワイで道を聞かれますからね、私(笑)。


でも、お店は定休日がないし、お正月以外は基本的に休まないので、ほかに趣味を持つっていうより、仕事が楽しくて好きですね。一生懸命に仕事をがんばって、それで休むから休みや遊びが楽しいわけだし。仕事は楽しいですよ。



 —将来の夢を教えてもらえますか。


 

お客さんも地方出身者の子が本当に多いんですよ。あこがれて下北沢に来たけど知り合いはいなくて、っていう子が多いので、東京のおばちゃんの家を訪ねるくらいの感覚で来てくれていると思うし、そのつながりを大切にしたいですね。これからも、ここはそういう人たちにとって楽しく笑顔で帰ってもらえる店であり続けたいです。



 取材後記

「勝負をしていないとつまらない」という言葉が印象的でした。大手化粧品会社時代について「競争は楽しかった」という言葉も。世間一般の平均的な感覚はたぶん逆の方向へ流れていると思うので、ずいぶん新鮮な感じがします。でも、お店もご本人も、ほわっと柔らかい雰囲気で、人を緊張させるような印象は受けません。ああ、こういうふうにも競争できるんだな、と漠然と思い、なんとなく良いものを持ち帰れたような気がしました。この記事を読んでくださった皆さんもそうだといいなあと思います。

( 記者:赤坂 麻実 )


記者略歴:
日経BP社ライターを経て現在、フリーライター。兵庫県出身、無宗教。主な仕事は、日経BP社『Tech-On!』、ダイヤモンド社『TV station』、潮出版社『横山光輝「三国志」大研究』。ほかに、専門誌や企業社内報、企業公式サイトなどに記事多数。趣味はスポーツ観戦、酒。企業の新製品発表や経営分野の記者会見、人物インタビュー、講演録など幅広く取材・執筆、承ります。ご相談・ご依頼はお気軽に。